2009年12月22日火曜日

With The Beatles [2009 Stereo Remaster] ビートルズ リマスター試聴

ビートルズのセカンドアルバム「ウィズ・ザ・ビートルズ」の2009年リマスター版と1987年版のCDを試聴比較してみた。今回は、以前アナログで出ていたステレオ版マスター音源のリマスターだが、「プリーズ・プリーズ・ミー」同様、2チャンネル収録のため、演奏部分が片チャンネルにまとめ録りされており、楽器ごとの細かなリミックスは期待できない。後録りのボーカルやコーラス部分は、極端に右チャンネルにパンニングされており、ステレオとしてのバランスは、「プリーズ・プリーズ・ミー」よりも劣っている。

このアルバムでは、ジョンやポールのボーカルはダブルトラックで録音されている曲が多く、初期ビートルズ最大の魅力のひとつである、ジョンのかすれた声とポールの甘い声という黄金のハーモニーは影を潜めてしまっている。
モノラル版のミックスに主眼が置かれ、ステレオ版は短時間で制作されているせいか、荒さの目立つミックスとなっている。「プリーズ・プリーズ・ミー」では、右チャンネルのボーカルのエコーを左チャンネルに、左チャンネルのギターのエコーを右チャンネルに逃がすなどの工夫がされていたが、このアルバムではそうした細かな作業は省かれているようだ。

比較的バランスが良いのが"Don't Bother Me"、"Till There Was You"で、前作に近いミックスが施されている。"You Really Got A Hold On Me"と"Roll Over Beethoven"は、ボーカルの後録りの際にリードギターが同録されているようで、右チャンネルから一部リードギターが聴こえる。また、最後の"Money"だけは例外で、ボーカルはセンターに定位させていて一番バランスが良く感じられるが、これはテイク違いの曲同士をミックスしてつくられていて、モノラル版よりも凝った音づくりがなされている。

1987年版モノミックスとの比較では、ステレオになっていること以外は音質的にも大きな差はなく、このアルバムに関しては旧CDのほうが聴きやすいと思う。

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