2010年1月30日土曜日

どんと「波」


どんとの曲「波」をカバーしました。ボ・ガンボスの元ボーカル・ギターの"どんと"(久富隆司)は、何を隠そう自分と同い年。

彼が亡くなって、早10年。命日は1月28日ですが、今回、彼の名曲「波」を録音したのが、ちょうど一昨日の命日でした。この曲を知ったのは、自分がプロデュースしたハルモニア(現ハミングキッチン)の演奏を聴いたのが最初で、はじめて聴いた時の衝撃は今でも鮮烈に覚えています。

コードは F と C を中心としたごくシンプルなものだけど、島国風のメロディと痛烈な歌詞で綴られたこの曲は、いつか演奏してみたい曲のひとつでした。

コード的には、ジョン・レノンの「イマジン」に近いのですが、サビの前に C のコードで入る "ドゥドゥ・ドゥドゥ・ダダ" のアクセントと、サビの "お〜い、お〜い、お〜い、お〜い、波" の繰り返しが印象的で、いちど聴いたら忘れられない見本のような曲です。名曲であるほど、シンプルなコードが多いことに気がついたのも、この曲がきっかけでした。

今回の録音では、Mac のキーボードを使ってオルガンも録音しました。アコギとフレットレスベースは生録音。イントロとアウトロのベースは和音で弾いてます。後半のハーモニーは、島唄風にアレンジしてみました。

作詞/作曲 どんと
編曲 monophonica

使用機材
Guitar : Yamaha Dynamic Guitar No.10A,
Rider by Headway RYG
Bass : Yamaha MB40 Fretless Specification
Guitar Amp : Roland JC-20
Keyboard : GarageBand
Drums : GarageBand
Microphone & Camera : iSight
Headphone : Sony MDR-CD900ST
MTR : GarageBand
Movie Editor & Mastering : iMovie HD

2010年1月26日火曜日

"This Boy" Beatles cover

ビートルズの「ディス・ボーイ」を再レコーディングしました。
今回は、ベースとドラム入りの完全版です。
ジョン、ポール、ジョージそれぞれのボーカル・パートは別トラックで重ねてます。

歌詞は、That Boy(あいつ)に彼女を奪われてしまった This Boy(こいつ=自分)の歌。
自分は今でも君のことを想っている...だから、また君とやりなおしたいんだ...という、未練を歌った曲です。

ギターは、リズムギター2種類と、エンディングに入るオクターブ奏法のリードギターを重ねました。
サビのコーラスも、ポールとジョージのパートに分けて重ねてます。
カラオケ版はコチラから。

使用機材
Guitar : Gibson L-1, The Loar LH-600, Fender Telecaster
Bass : Yamaha MB40 Fretless Specification
Guitar Amp : Roland JC-20
Bass Drum : Sound Source of Garage band
Microphone & Camera : iSight
Headphone : Sony MDR-CD900ST
MTR : GarageBand
Movie Editor & Mastering : iMovie HD

2010年1月23日土曜日

"Love Comes To Everyone" George Harrison cover

"Love Comes To Everyone" をカバーしました。
採譜、録音、映像編集と三日間で仕上げました。
スライドギターがなかなか難しかったです。

使用機材
Guitar : Gibson L-1, Fender Telecaster
Guitar Amp : Roland JC-20
Keyboard : Garage Band
Drums : Sound Source of Garage band
Microphone & Camera : iSight
Headphone : Sony MDR-CD900ST
MTR : GarageBand
Movie Editor & Mastering : iMovie HD

2010年1月21日木曜日

Love Comes To Everyone

"ラブ・カム・トゥ・エブリワン"という曲をご存知ですか?「愛はすべての人に」という意味のこの曲は、1979年にジョージ・ハリスンが発表したアルバム "George Harrison"(邦題「慈愛の輝き」)に収められた、たいへん美しい曲です。

ジョージとオリビアとの間に、はじめての子供が生まれ、人生でもっともやすらいでいた時期に書かれたナンバーで、歌詞の内容も慈愛に満ちており、ミディアムテンポの優しいメロディによくマッチしています。


知名度こそありませんが、間違いなくジョージの代表曲のひとつです。また、ジョージのトレードマークであるスライドギターが存分に聴ける曲でもあり、レコーディングには、親友のエリック・クラプトンも参加しています。


クラプトンの最新作にあたる2005年の「バック・ホーム」には、この曲のカバーが収められてますが、アレンジやテンポもかなり忠実にカバーされていることからも、原曲の完成度の高さが窺い知れます。クラプトンのほうは、円熟した大人の演奏という感じですが、ジョージの歌う原曲には、輝いたような明るさが感じられ、いつ聴いても気持ちが和みます。


1991年にクラプトンとのジョイント・ツアーで来日した際には、東京ドーム公演を観にに行ったけれど、残念ながらこの曲は演奏されませんでした。二人揃ってのスライドギターソロをぜひ聴いてみたかったです。


ジョージとクラプトン二人による渾身の演奏は、各々のアルバムで聴けるので、よろしければ、ぜひ聴き比べてみてください。

2010年1月19日火曜日

"Nowhere Man" Beatles cover


ビートルズ中期の代表曲「ノー・ウェアマン」をカバーしました。 メロディ部分は3音階、サビのコーラスは2音階重ねてます。リズムギターは、2フレットにカポを付けて弾いております。 リードギターは、リバプールっぽい音にしてからコーラスをかけました。ベースはアンプがないので、ローランドのJC-20につないでマイク録りし、60年代ロックベースの音にしてから、低音をブーストさせました。ドラムは、ガレージバンドのドラムキットを使用してます。

 録音機材 Guitar : Gibson L-1, Fender Telecaster Bass : Yamaha MB40 Fretless Specification Guitar Amp : Roland JC-20 Drums : Sound Source of Garage band Microphone & Camera : iSight Headphone : Sony MDR-CD900ST MTR : GarageBand Movie Editor & Mastering : iMovie HD

2010年1月18日月曜日

Past Masters [2009 Stereo Remaster] ビートルズ リマスター試聴

ビートルズのオリジナルアルバムには収録されなかったシングルや別テイクなどの音源を集めた「パストマスターズ Vol.1,2」を聴いた。オリジナルのステレオマスター及びモノマスターが元になっている。


"Love Me Do" (Single Version)は、マスターテープが処分されているため、モノラルのシングル盤を元にリマスターされている。旧CDより低音が強調されており、ベースの音がすこしこもった感じになっている。


"From Me to You"は、旧CDではモノラルマスターだったが、今回はステレオマスターが採用されている。イントロのハーモニーにはハーモニカが入っていない。音質的には旧CDよりもクリアな印象を受ける。次の"Thank You Girl"も同様にモノラルからステレオに変更されている。


"She Loves You"は、2トラックテープが処分されてしまったので、モノラルマスターしか残っていない。複数のテイクをつぎはぎにしてミックスされているため、所々に編集の痕跡が聴き取れる。旧CDでは、1分23秒の箇所でハイハットの音が旧に大きくなっていたが、今回のリマスターでは修正された。


"I Want to Hold Your Hand"は、中低域が持ち上げられて、シャリシャリ気味だった旧CDよりも音のバランスはよくなっている。

"This Boy"は、低音がかなり強調されており、もともと歪み気味だったベースがさらに目立ってブンブン唸る感じになっている。


"Komm, Gib Mir Deine Hand"と"Sie Liebt Dich"は、旧CDではモノラルだったが、今回からはステレオマスターが採用されている。音圧もかなり上げられている。


"I Feel Fine"では、不明瞭だったジョンのボーカルが非常にクリアになっていて、19秒の ~Happy 部分でマイクの音量が振り切っていた箇所も修正されている。


"Day Tripper"では、旧CDでは1分50秒の Try to please her~ の後に、右チャンネルのギターとタンバリンの音が一瞬消えていたが、今回のリマスターでは修正されている。また、2分32秒の ~Yeah の直後も右チャンネルの音が消えていたが、これも修正されている。


"Paperback Writer"では、旧CDにはオープニングのアカペラ部分に、ブーンという低いノイズが入っていたが、今回のリマスターではきれいに消されている。


"Hey Jude"では、旧CDよりもボーカルの音圧は劣るが、1メロで目立っていたヒスノイズが消されている。旧CDよりも4秒長くなっているが、これは次の曲"Revolution"とのブランクを増やしているためで、フェードアウトの位置は変わっていない。


"Get Back"では、旧CDではすこしこもり気味の音だったが、今回のリマスターではかなりクリアになっている。とくにスネアの音が明瞭になっているのと、ボーカルも輪郭がクッキリして聴きとりやすくなっている。


"Don´t Let Me Down"では、旧CDには05秒から11秒くらいにかけて左チャンネルに入っていたヒスノイズが、今回のリマスターでは目立たなく処理されている。このノイズ処理のせいか、音質的には旧CDよりもこもった感じになっている。

"The Ballad Of John And Yoko"では、旧CDのほうが音圧が大きく、左右への広がりも感じられるが、今回のリマスターでは音圧が下がった分、音がクリアになっている。また、最後のフェードアウトのタイミングが異なっており、エンディングのドラムによる締めがはっきりと聴こえる。


"Across The Universe"は、鳥の声が入ったジョージ・マーティンによるプロデュース版で、フィル・スペクターによるアルバム・ヴァージョンとはテープ・スピードがかなり異なる。ネイキッド版(このヴァージョンの"D"が元のキー)と合わせ、3種類のヴァージョンが存在するので、聴き比べてみると面白い。なお、MONO BOX に収められたミックスは今回のステレオ版とは異なるので、それも合わせると4種類の異なるヴァージョンが存在することになる。


"Let It Be"も、スペクター版とは異なるマーティンによるシングル・ヴァージョンである。旧CDには、ボーカル・マイクで振り切ったブレスによるノイズが数十ヶ所にわたって入っていたが、今回のリマスターではそれらが丹念に取り除かれている。デジタル・リマスターによる先端技術の成せる技だ。

2010年1月16日土曜日

"Across The Universe" Beatles cover

ジョンの名曲「アクロス・ザ・ユニヴァース」をカバーしました。
「レット・イット・ビー ネイキッド」に収められた、元々のキー"D"で演奏してます。
アコースティック・ギターを録音してから、エレキ・ギターを重ねてます。フェイズ・シフター(エフェクター)は、録音後に加えております。バスドラの音は、一音ずつ根性でつなげました。
カラオケ版は、コチラをご覧ください。

録音機材
Guitar : Gibson L-1, Fender Telecaster
Bass Drum : Sound Source of Garage band
Microphone & Camera : iSight
Headphone : Sony MDR-CD900ST
MTR : GarageBand
Movie Editor & Mastering : iMovie HD

2010年1月15日金曜日

Across The Universe 映画「アクロス・ザ・ユニヴァース」

映画"Across The Universe"を観た。全編ビートルズの曲をモティーフにしたミュージカルで、2007年に公開された映画である。公開当時、ミュージカルということで敬遠していたが、YouTube の映像を見て興味が湧いたのでDVDを注文した。特筆すべきは、キャストが吹き替え無しで歌を唄っているということと、映画のストーリー自体、ビートルズの歌詞をつなぎ合わせて物語化しているところ。

登場人物の名はすべてビートルズの曲にちなんだ名前が使われており、たとえば主人公はジュード、その恋人役はルーシー、そしてその他の登場人物もセディ、マックス、プルーデンス、ジョジョ・・・といった具合である。
舞台はベトナム戦争当時に設定されてはいるが、美術的なセットは現代のイギリスとアメリカのありのままが瑞々しく映像化されている。ジム・スタージェス演じる主人公ジュードは、リバプール出身の労働者階級出身だが、独特なリバプール訛りを上手く劇中で披露していて、まるでポール・マッカートニーが喋っているように聞こえるのが面白かった。

主人公はイギリスに駐在していたアメリカ軍兵士とイギリス人の母との間に生まれた子という役柄で、これはビートルズというよりエリック・クラプトンの生い立ちそのもの。
映画を通して、あらためてビートルズの歌詞と真っ向から接したが、初期の恋愛をテーマとした赤裸々な歌詞から、平和や革命、ドラッグといった社会現象と向き合った中後期の歌詞を、映画のストーリーと同時に見ていくと、あらためてその詩が持つピュアな力に圧倒される思いがした。

ベトナム帰還兵たちの病棟で歌われる"Happiness is a Warm Gun"などは、訳の解釈を巡っていろいろな方向に分かれる曲だが、銃(Gun) をドラッグの針や男性の性器という解釈で映像化したシーンなどは、ジョンのねらいそのものではないだろうか。リアルタイムでは、翻訳しずらかった過激な詩も、映画としてストーリー化されることで、現代的な生の声として新しく生まれ変わっており、ビートルズの詩集などで育ってきた人にも新しい発見があるはずだ。
ちなみに、"Come Together"のなかの、He Shoot Coca-Cola の部分は、ストレートに「コカインを打つ」と翻訳されている。

かつて、Barclay James Harvest の歌のなかで、ビートルズの曲名をモティーフにした歌詞があったが、映画のストーリーそのものをすべて歌詞から再構成するという試みは斬新で、さながらビートルズの名曲を用いたロック・オペラという見方もできるだろう。物語として見ても展開はごく自然で、あらためてビートルズの詩が映像的・物語的だったという事実に気がつかされた。

特に後期のジョン・レノンの詩はラディカルで、溢れんばかりの抽象的かつ視覚的な言葉の羅列に圧倒される。映画のなかでは、時に幻想的で切なく、時にサイケデリックで挑発的な美術と衣装がつぎつぎと展開する様は、舞台芸術を思わせるパワーを感じさせ、ブロードウェイの「ライオン・キング」を手がけたジュリー・テイモア監督の手腕が遺憾なく発揮されている。

ザ・フーの「トミー」や、ピンク・フロイドの「ザ・ウォール」のように、サウンドトラックとしてではなく、ロック・オペラとして音楽を聴いてもよいし、コンサートと演劇を融合させた新たな総合舞台芸術としての可能性も感じさせる作品となっている。

2010年1月14日木曜日

Let It Be [2009 Stereo Remaster] ビートルズ リマスター試聴

1970年発売のビートルズ最後のアルバム「レット・イット・ビー」のリマスター版を聴いた。オリジナルのステレオマスターが元になっている。旧CDよりも音圧が上がっているのは、今までのアルバムと同様だ。個人的には、2003年にリリースされた「レット・イット・ビー ネイキッド」にも関わったアビイ・ロードのエンジニアが、何かと問題となるフィル・スペクター版の本作をどのように仕上げるのかに関心があった。


"Two Of Us"では、オープニングのジョンによる喋り部分で目立っていたヒスノイズがだいぶカットされて聴きやすくなっている。また、129秒にあったカタッというノイズも無くなっている。


"Dig A Pony"では、旧CDとの音質の差はあまり感じられない。ネイキッドでは、音を絞っていた209秒にある誰かの声はそのまま生かされている。


"Across The Universe"は、元々Dの音階で録音されていたものを、スペクターが1音階下げてオーケストラを大胆に被せたというオーバー・プロデュースの1曲。旧CDには307秒にブツッという大きなノイズが入っていたが、今回は消されている。個人的には、オーケストラの入らない、普通の音階で歌われているネイキッド版が好きだ。


"I Me Mine"は、'7013日に、ジョージ、ポール、リンゴの3人が集まって録音されたビートルズとして最後のレコーディング曲のひとつ。この曲にもスペクターによってオーケストラが加えられている。旧CDよりも低音が強調されている。


"Let It Be"では、出だしのピアノの頭にカチッというノイズ、09秒にはプツッというノイズが入っていたが、今回のリマスター版ではきれいに消されている。この曲は、基本は同じテイクながらシングル盤として別のミックスが存在しており、こちらのプロデュースはジョージ・マーティンが行っている。大きく異なるのはジョージのギターソロで、シングル版、アルバム版、ネイキッド版で、3種類の異なるソロを聴くことができる。個人的にはシングル版のソロが一番好きだ。


"The Long And Winding Road"では、19秒に入っていたドンッという大きなノイズが目立たなくなっている。オーケストラの音も旧CDより遥かにクリアでレンジも広がっている。元々はシンプルな編成で録音されていたものに、スペクターが大胆なアレンジを加えたことでポールが怒ったのは有名である。本来のアレンジはネイキッドで陽の芽を得たが、リチャード・ヒューソンによるストリングスアレンジも素晴らしく、このアルバムのハイライトとなっている。


間にシンプルなブルースナンバー"For You Blue"を挟んで、最後にラストを飾るのが"Get Back"だ。ビートルズ最後のアルバムのトリを飾るノリの良いロックンロールだが、ネイキッドではいきなりオープニングに選曲されている。この曲も、マーティンのプロデュースによるシングル版が存在する。スペクター版には、曲の最初と最後にメンバーの声や楽器の音が入っているが、曲が始まっているにもかかわらず、ビリー・プレストンによるチューニング用のキーが残っている。(ワン・ツー・スリー・フォーのカウントが小さくて聞こえなかったのだろう)


最後に、旧CDとの比較結果をまとめると、おそらくネイキッドで、やるべき仕事はしつくしてしまったのだろう、スペクター版を作品として尊重しつつ、ノイズリダクションとごく僅かなイコライジング処理に徹したリマスターになっている。

曲別では、"The Long And Winding Road"での音質の向上が目立つ程度で、その他の曲ではあまり大きな差は感じられなかった。

2010年1月12日火曜日

"Here Comes The Sun" Beatles cover

アビイ・ロードから、ジョージの曲をもうひとつ「ヒア・カム・ザ・サン」をカバーしました。
ベースはダブルトラックで録音しました。キーボードは、ガレージバンドの鍵盤を使って重ねています。
カラオケ版のほうは、コチラをご覧ください。

使用機材
Guitar : Gibson L-1, Fender Telecaster
Bass : Yamaha MB40 Fretless Specification
Guitar Amp : Roland JC-20
Keyboard : Garage Band
Drums : Sound Source of Garage band
Microphone & Camera : iSight
Headphone : Sony MDRCD900ST
MTR : GarageBand
Movie Editor & Mastering : iMovie HD

2010年1月10日日曜日

Abbey Road_1969~2009

アビイ・ロードのジャケット撮影が行われてから、40年の月日が流れました。そこで、40年前と現在のアビイ・ロードを定点で重ねてみました。40年の月日が経っているにもかかわらず、周囲はあまり変わってません。伝統を重んじるロンドンらしい一面が垣間みられます。

曲は、アビイ・ロードの1曲目"Come Together"。リマスター版音源をさらにマスタリングして音を磨きました。

2010年1月9日土曜日

Abbey Road [2009 Stereo Remaster] ビートルズ リマスター試聴

1969年発売のビートルズ12枚目のアルバム「アビイ・ロード」を聴いた。オリジナルのステレオマスターが元になっている。旧CDよりも若干、音圧が上がっており明瞭度もよくなっている。また、小さなノイズ処理も行われている。このアルバムは、発表当時から音質の良さには定評があったが、所々に録音時に残されたノイズが入っていたのが今回の試聴でわかった。

"Come Together"には、34秒辺りに何かの共鳴音と、すぐその後にベースのストロークらしきノイズが入っていたが、今回のリマスターにもそのまま残っている。"Something"では、ドラムのフィルインやベースの音がやや厚くなって、ストリングスの音もよく響いている。


"I Want You (She's So Heavy)"では、2分21秒と3分08秒にあったカチッというノイズが消されている。3分42秒にあったノイズもきれいに消えている。"Here Comes The Sun"の美しいギターのイントロは、旧CDよりあきらかにクリアで音圧も上がっており、新CDではピッキングの空気感までが伝わってくる。


"You Never Give Me Your Money"と、"Sun King"の間のブリッジには、こおろぎの鳴き声に混ざって、泡のような音が入っているが、新CDではよりくっきり音が聴こえる。"Sun King"後半のベースラインも音圧が上がっている。


"Mean Mr. Mustard"~"Polythene Pam"~"She Came In Through The Bathroom Window"のメドレーでは、何故か音圧が下がっており、旧CDのほうが音が大きい。前後の曲とのバランスで音圧を下げたものと思われるが、メリハリも同時に失われており、この3曲に関しては旧CDのほうが良かったと思う。


"Golden Slumbers"では、わずかに中低音の音圧が上がっており、フロアドラムやベースの音がラウドになっているが、続く"Carry That Weight"~"The End"では、やはりバランスを重視したためか音圧が下げられている。好みにもよるだろうが、なめらかに流れていくメドレーよりも、曲ごとに起伏があった従来のほうが個人的には好きだ。

2010年1月5日火曜日

Yellow Submarine [2009 Stereo Remaster] ビートルズ リマスター試聴

1969年発売のビートルズ11枚目の作品「イエロー・サブマリン」を聴いた。"Only A Northern Song"を除いてオリジナルのステレオマスターが元になっている。

旧CDよりも中低音の音圧が上がっている他、音もクリアになっている。"Only A Northern Song"は、旧CDは疑似ステレオ版だったため、位相がずれたような不快な音だったが、オリジナルのモノラル音源となって、スッキリした音に生まれ変わっている。
(「Yellow Submarine Songtrack」では、新リミックスによる真性ステレオヴァージョンを聴くことができる)

"All Together Now"では、14秒と24秒辺りに入っていたカチッというノイズが除去されている。

"Hey Bulldog"は、音圧が顕著に上がっており、ポールの唸るようなベースラインをより堪能できる。旧CDでは、高域が強調されて歪んだ感じに聴こえていたが、新CDでは音のバランスが格段に良くなっている。FMラジオの周波数がピタッとあってヒスノイズがカットされた時のような感じだ。

"It's All Too Much"は、ドラムとリードギターの音をオフ気味にして、後から加えられた手拍子やブラスの音をオン気味にするなど、サイケデリックな効果を狙った曲だが、旧CDより全体的に音がクリアになっている。また、旧CDよりもフェードアウトのタイミングが遅らされており、最後のほうでカウベルを連打する音がハッキリと聴きとれる。

2010年1月3日日曜日

The Beatles (White Album) [2009 Stereo Remaster] ビートルズ リマスター試聴

1968年に発売されたビートルズの10枚目にあたるアルバム「ホワイト・アルバム」を聴いた。オリジナルのステレオマスター音源が元になっている。旧CDとの比較では、中低音の音圧がやや上がっており、1曲目の"Back In The U.S.S.R."では、イントロのフロアドラムの音が強調されて聴こえる。"Glass Onion"では、旧CDにはジョンの歌いだしの直前にリップノイズが入っていたが、今回のリマスター版では消去されている。

"The Continuing Story Of Bungalow Bill"では、オープニングのガットギターの後半部で目立っていたホワイトノイズがきれいにカットされている。また、旧CDでは前曲のパーカッションの音が曲頭に残っていたが、曲間が2秒延ばされているため、今回はジャストの位置で始まっている。


"While My Guitar Gently Weeps"でも同様に、前曲の Eh,Up という掛け声がカットされ、ジャストの位置で始まっている。ご存知、エリック・クラプトンが参加しているこの曲は、個人個人が勝手にレコーディングしているため音数の薄い曲が多いこのアルバムのなかで、メンバーが全員で真剣に演奏に取り組んでいる数少ない曲のひとつ。


"Martha My Dear"では、イントロのピアノ演奏で目立っていたホワイトノイズが目立たなくなり、サビから入ってくるブラスの音圧が上がっている。"Rocky Racoon"のイントロのギターは、旧CDよりも音が丸くなっている。また、始まって1秒くらいの場所にテープの劣化らしきノイズが左チャンネルから聴こえるが、これは旧CDには入っていなかったものだ。


"Julia"では、1分11秒と、同じく2分22秒、2分29秒辺りに入っていたジョンのリップノイズが消されている。こうした処理は丁寧な仕事ではあるが、アーティストの息づかいも同時に消してしまうことになる。

"Sexy Sadie"では、1秒辺りに入っていたノイズが消されている。また、"Long, Long, Long"では、1分3秒に入っていたプツッというノイズが消されている。ところどころで入るドラムの音も音圧が増している。


"Revolution 1"には、もともと様々なノイズが入っているが、この曲にとってはノイズも曲の一部という解釈なのだろう、ノイズ除去は行われていない。ドゥーアップ的なコーラスが雰囲気を盛り上げている。

"Honey Pie"では、全体的に音圧が上がっていて、ディキシーランド風の管楽器もノリがよく聴こえる。晩年のジョージのソロアルバムでも度々取りあげられた曲調で、おそらくジョージはポール作であるこの曲が好きだったのではないだろうか。


つづく"Savoy Truffle"でも、音圧はかなり上がっていて特にブラスの音でそれは顕著だ。

"Cry Baby Cry"では、歌いだしのジョンのボーカルが持ち上げられている。曲の途中でボーカルの定位が左と中央に行ったり来たりするが、全体的にボーカルはオン気味である。


アルバムの最後を締めくくる"Good Night"は、旧CDよりも出だしのフェードインの音量が大きい。ジョンによるこの美しい曲は、ジョージ・マーティンによるオーケストラをバックに、リンゴがめずらしく甘い声で歌っている。オーケストラの演奏を聴くと、あらためて今回のリマスターで音がワイドレンジになっているのがわかる。


Disc1は、ほぼ一律で曲間のブランクが2秒足されており、曲の頭出しで前の曲がかぶることがなくなっている反面、"Back In The USSR"と"Dear Prudence"に入っているジェット機の音が途切れるという不自然さを生んでいる。一方、Disc2のほうは、旧CDとの曲間の差はほとんどない。

Magical Mystery Tour [2009 Stereo Remaster] ビートルズ リマスター試聴

1967年に発売された9枚目のアルバム(イギリスではEP2枚組)「マジカル・ミステリー・ツアー」を試聴した。旧CDと同様、オリジナルステレオ音源が元になっている。旧CDより全体的に中低音の音圧が上がっており、1曲目の"Magical Mystery Tour"では、バスドラムとベースの音が明らかにブーストされているのがわかる。ベースのブンブン唸る音やピッキングの気配が伝わってくる辺りは、好みもあろうが、よりHi-Fi感は増している。

"The Fool On The Hill"では、1分07秒辺りから入るタンバリンの音が、微かに明瞭になっている。"Your Mother Should Know"では、歩くようなベースラインの音がより太くなっていて、違うベースアンプを使っているように聴こえる。


"I Am The Walrus"では、旧CDでは消されていた、イントロで右チャンネルのオーケストラの導入部に入るメロトロンの音が、今回のリマスター版では消されず生かされている。臨場感が増して、スタジオの空気感が伝わってくる感じだ。また、間奏の後となる、2分11秒からのサビは、旧CDではジョンのボーカルに強いフェイザーがかかって、音がこもった感じになっていたが、今回のリマスターでは左チャンネルに高音域を加えることで、この"こもり感"をやわらげている。(ミックスそのもののヴァージョンも旧CDとは異なるようだ)


"Hello Goodbye"は、全体的に音圧が上がっており、低音がブースト気味に味付けされている。"Strawberry Fields Forever"も、ヴァージョン違いの多い曲だが、旧CDとの違いは音質以外には見あたらなかった。ただし、曲が終わった後のブランクが新CDのほうが3秒短く、次の"Penny Lane"がすぐに始まる。"All You Need Is Love"に関しては、音圧も含めて旧CDとの違いはほとんど感じられなかった。


このアルバムでは、明らかに音が変わっている曲もあれば、ほとんど変わっていない曲もあるはで、おそらくリマスターにかける時間も、曲によってかなりのバラツキがあったのではないかと思わせる発見があった。ステレオマスターにも複数のテイクがあるのが理由と思われるが、エンジニアのこだわりも多少は反映されているのかもしれない。