2011年3月20日日曜日

YAMAHA Dynamic Guitar No.4

ヤマハのダイナミックギター No.4 を入手した。1960年代初頭につくられたファーストラインナップの1本で、No.8 からボディ外側のインレイを省略したタイプだ。

送られてきたギターは、純正のナットとサドルが欠品していたため、修理パーツを調達しにいった。この時代のダイナミックギターには、樹脂製の丸棒サドルが付いているが、金属製のほうが音はきらびやかでサスティーンも増す。

そこで、まずは真鍮の丸棒を加工してブリッジと同じ長さに切ることにした。弦高は低めにしたいので、φ2程度の細いものを使用してみたが、これが溝にぴったり収まり、サドルの高さも丁度良かった。


次は、すこし手間のかかるナットの加工。No.4 のナット幅は約49mmだが、ちょうど良い幅のナットが無かったので、溝の切っていない四角い牛骨ナットを買ってきた。

まずはナットを万力に固定して49mm に合わせて牛骨を切断。牛骨は固くはないが、慎重に切らないと途中で欠けてしまうので、注意が必要だ。切断できたら、やすりで断面を水平に整える。

さて、これからが本番ともいえる作業だ。やすりを使ってナットらしい、なだらかなカーブに成形していく。小型の万力とダイヤモンドやすりがあると便利だ。

成形作業が済んだら、6本の弦を固定する位置に合わせてペン等でアタリをつけ、溝を6ヶ所削っていく。弦の太さは異なるので、数種類の太さのダイヤモンドやすりが必要。

ある程度削れたところで、ナットをギターに仮止めして実際に弦を張ってみる。ここで丁度良い弦高になるよう、溝の深さを調整していく。溝を切りすぎてしまうとビビリがでるので、ここも細心の注意が必要だ。

ナットを目の高さにもって見て、ほぼ水平に溝が切れていれば、そこで弦をすべて張ってチューニングしてみる。ここで、オクターブなどに狂いがなければ、作業はゴールに近い。あとは、好みの弦高にするためにナットの溝を微調整すればOK。

新品のエクストラライトゲージの弦に張り替えて、作業は終了。幸いネックは真っすぐでフレットも減りは少なかったので、現役でバリバリ使えるギターが完成した。音はダイナミックギターらしく激しく鳴っているが、エクストラライトゲージと真鍮サドルの組み合わせのためか、1〜3弦が鈴の音のような繊細さで響くのが、通常のダイナミックギターと異なるところだ。