2011年4月9日土曜日

Blue Mitchell "Bring it Home to Me"

ブルー・ミッチェルのアルバム「ブリング・イット・ホーム・トゥ・ミー」と聞いてピーンとくる人は、かなりのジャズ通だ。何せブルーノートの4228番なのに、一度しか再発されていない幻のアルバムである。

オリジナル盤が発売されたのは1966年。当時、ブルーノートなどのハードバップ系ジャズは完全に力を失っていた時期で、同じ時期のラインナップをみても印象の薄いものばかり。当時、売れっ子だったリー・モーガンやハービー・ハンコックらが取り入れた8ビートやボサノヴァのエッセンスは、このアルバムにも色濃く反映されている。ブルー・ミッチェル(tp)と、ジュニア・クック(ts)による2管編成で、ホレス・シルバー・クィンテット時代の流れを汲む典型的なブルーノートサウンドに仕上がっている。


このアルバムとの出会いは、渋谷の百軒店にあったジャズ喫茶「音楽館」で聴いたのが最初で、およそ18年前のこと。当時、自分は松濤のアパートに居候していたので、仕事帰りによくこの店に立ち寄ったものだ。「音楽館」の店主もこのアルバムが好きだったようで、よくかかっていたのを覚えている。

以来、中古レコード店に行くと必ずチェックしてきたが、お目にかかったのは2回のみ。一度目は再発盤だったが5千円弱。二度目はオリジナル盤で3万円超。高すぎて手を出せずじまいだったが、今日、お茶の水のジャズ専門店を覗いてみたら、なんと輸入盤でアナログが再発されているではないか! 本当はCDで欲しかったのだが、今後再発される見込みも薄いので買ってきた。

 当時住んでいた松濤のアパートは取り壊され、「音楽館」も閉店してしまった。自分にとって、あの時代を懐かしむことのできる思い出の一枚だ。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

こんにちは、初めまして。
昨日、このレコードの中古盤を入手しまして、インターネットで検索したところ貴方様のブログを拝見致しました。
私も音楽館には何回か行ったことがあります。20年~30年くらい前でしょうか。2階の店で割りと明るい店内だったと記憶しています。百軒店には、他にジーニアス、デュエット、ブレイキー、ちょっと離れてスイングなどというジャズ喫茶が固まってあり渋谷に行った時は必ずどれかに寄って帰りました。ブルー・ミッチェルのこの盤の中古盤は、稀少なのか昔から結構高く縁がなかったのですが、今回割と安く見つけ入手できました。大して期待していなかったのですが、素晴らしく乗りがいいですね。ハロルド・メイバーン、ビリー・ヒギンスの参加がうまく行った原因ではないでしょうか。このコンビは、モブレーの「Dippin'」、モーガンの「Gigolo」のコンビなので合点がいきました。一気に聴きとおすぐらい良かったです。貴方様のいうとおり、CD化されてないのが不思議なくらいの裏名盤だと思います。現在米盤のBlue Noteは新期発売をしていませんので、陽の目を見るのがいつになるのか。出たら迷わず買いたいと思います。

monophonica さんのコメント...

コメントありがとうございます。中古盤を割安で買えたとは! とてもラッキーでしたね。

おっしゃるように、メイバーンとヒギンズの参加が、ミッチェルとクックの演奏をぐいぐい引っ張っているのが、聴いていると伝わってきます。特にヒギンズのフィルが絶妙の間で入ってくる、1曲目の"Bring it home to me"は最高ですよね。

私は、久しぶりにBNのアナログ盤を聴いたのですが、その音の良さに驚きました。また、ジャズのアナログ盤にはまってしまいそうな自分が怖いです(笑)。